てんかんにおける完治の定義について

てんかんとは、慢性的に起こる脳疾患のひとつです。
大脳ニューロンが過剰に発射されることによって生じる反復性の発作(てんかん発作)が特徴です。

発作には程度の強弱がありますが、強い発作の場合は意識を失ってしまうこともあるため、運転中などに起こると命に関わる重大な事故につながる恐れもあります。

てんかんは小児に多く発症する疾患です。全体の80%は18歳までに発症すると言われています。
ですが大人になってから発症することもあります。
それまでに発作が起きたことがない高齢者に突然症状が現れるケースも増えてきており、認知症や脳卒中などの脳の疾患との関連が指摘されています。
完治の判断については、必ずしも確立された判断方法があるわけではないため、患者さんひとりひとりの症状を見ながら判断していくことになります。
ですが、小児期のてんかんと大人になってからのてんかんでは、判断基準に違いがあります。

小児期のてんかんは、母親の胎内にいる間や出産時に、なんらかの原因で脳に傷がついてしまうことで起こる症候性てんかんが多いとされています。
小児期の脳はまだ未発達であるため、体が成長していくにつれて脳が負ったダメージも修復されていくことで、症状が治まりやすいと考えられています。
そのため、一般的に2~3年間発作が起きていない状態を完治と定義しています。

一方、大人になってから発症するてんかんでは、小児期のような脳の回復が望めないこと、また原因がはっきりしない特発性のてんかんの割合が多いことから、完治が難しいとされています。
完治と判断されるまでには5年間発作が起きていないことが求められます。

いずれの場合も、完治と定義される期間が過ぎればすぐ完治となるわけではありません。
医師の指示のもとで薬の量を徐々に減らしていきながら、再発がないか経過を観察していきます。
内服を終了する判断がなされてからも、受診を継続して定期的な脳波の検査などのフォローを受けていく必要があります。

てんかんが完治する確率はどれくらい?

てんかんが完治する確率についても、小児期に発症したてんかんか、大人になってからのものかで違ってきます。

小児期のてんかんが完治する確率については、8~9割に達すると言われています。
これは成長とともに脳の損傷が改善することで症状が出にくくなることが要因と考えられています。
2年間発症がなければ、徐々に内服量を減らしていくことができますから、大人になるまでには内服もしない完治の状態になれる可能性も高いと言えます。

一方、大人になってからのてんかんでは、小児期のてんかんに比べて完治の確率が低くなります。
症状はひとりひとり異なるため、具体的な数値として完治確率を出すことは難しいです。
確率を2年間発作が出ていない状態で内服を中断した場合、1年後までに再発する確率が25%、2年間では30%に達するというデータがあります。
逆の見方をすれば2年間症状が出ない人が70%いるということになります。

しかし、完治という言葉が持つ意味を「その後一生症状が出ないこと」だと考えると、2年間で30%の人が再発してしまう状況を完治と呼ぶことは難しいでしょう。
小児期、大人のてんかんどちらにおいても、まずは完治と判断するために必要な、発作がない期間を継続することが必要となります。
この期間が確実に過ぎるまで内服と定期的な脳波の検査を忘れずに続けましょう。
またその後も不安があれば完治にこだわりすぎることなく内服を継続するという判断も必要と考えられます。

運転免許の取得には、完治状態である必要はありません。
完治が難しいことは確かですが、症状さえ抑えられれば普通の人と変わらない日常生活を送ることができます。

確率が低くてもあきらめずに、落ち着いた生活を継続することを大切に考えていきましょう。